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ー計装とは?具体例と仕事内容をよく知らない人に分かりやすく解説ー

計装とは、計測器を装備するという意味です。工場など、機械が自動で動いている場合、計測器で定期的に状態を測定することで、トラブルなく安全に運転しているか確認しています。

なかなか日常生活のなかで聞きなれない言葉の「計装」。しかし、機械化が急速に進む現代において、計装の役割は重要性を増しています。

本記事では、計装とは何かを具体例も踏まえて解説し、計装の技術者が行っている仕事内容や必要なスキルなどを紹介します。今後、さらにニーズが高まる可能性のある計装士についても理解を深めてみましょう。

計装とは

計装とは、生産工程などを制御するために、測定装置と制御装置を取り付け、測定・制御することを指します。

たとえば、身近な例でいうと自動車を思い浮かべてみてください。

自動車にはスピードメーターや燃料計が備わっています。そこに表示される数値を見て、安全運転を心がけたり必要なタイミングで給油ができたりするわけです。これが、計装にあたります。

工場の場合は機械を24時間稼働させることも多く、もしトラブルが起きると生産ラインが止まり多大な損害につながる可能性があります。

トラブルが起きないように、機械が安全に稼働しているか温度計や圧力計などで都度計測し、場合によっては制御装置が働いて自動や手動で停止することができる装置をシステム化することが計装の大きな役割です。

なお、計装工事と電気工事がよく混同されることがありますが、一般的に以下のように使い分けられます。

  • 計装工事:センサー配線・防爆工事・LAN工事・制御機器配線など制御機能を組み立てる工事
  • 電気工事:送電・配電・発電・変電などの動力配線に関する工事

機械を動かすためには計装工事も電気工事も必要不可欠なものです。計装工事を行うにしても電気の知識は必要といえます。

計装の具体例

計装の具体例は以下のとおりです。

  • 工場や施設内の電気設備や機械をケーブルなどで中央監視装置までつなぎ、遠隔操作で運転・停止を行う
  • 生産物の入ったタンク内の温度や圧力を調整するために、自動的に加熱したり制御弁を開閉したりする
  • タンク内の液体材料の流量を測定し、自動で適切な量になるよう制御弁やポンプの開閉を行う
  • 室温を計測して、空調設備や膨張弁、ヒーターなどを自動制御して室温を一定に保つ

このように、制御システムを駆使して工場の機械は安全に稼働できているのです。

計装エンジニアの仕事内容

企業によって呼び方はさまざまですが、一般的に計装工事に携わる人のことを計装エンジニアと呼びます。計装エンジニアの具体的な仕事内容は次のようなものです。

  • 計装制御システムの計画立案
  • 機器への計測器の装備
  • 変電設備や電気室などの配置計画
  • 配線・配管工事の設計や監督
  • 計装機器の試運転やメンテナンス

計装エンジニアは計測制御装置の取り付け工事や、その工事に不随する配線・配管工事の設計監督が主な仕事になります。

計装エンジニアの職場とは

計装エンジニアが活躍する場所は、巨大プラント・工場・オフィス・ホテル・病院などです。

巨大プラント

巨大プラントには多くの機械や制御装置が稼働しているので、最先端の技術が求められます。トラブルが起きた場合、制御装置が正しく起動することで大きな事故を防ぐことにつながるからです。

工場

製品をラインで大量生産する大規模な工場にも計装の技術が役立ちます。休みなく稼働する機械はその分負荷も大きく、適切な制御を行わなければ不具合が発生する可能性が高めです。

計測器で定期的に機械が安全に動いているかチェックすることが計装の大切な役割です。

オフィス・ホテル・病院

機械化や自動化が急速に進んでいる施設でもあるホテルや病院などは、機械を制御するシステムが必要です。特に病院の検査室や手術室の温度を一定に保つためには高度な制御技術が求められます。

計装エンジニアになるには

機械化が進む現代において計装の技術は必要不可欠です。未経験でも挑戦できる計装エンジニアに必要なスキルや向いている人の特徴をみてみましょう。

必要なスキル

計装エンジニアには専門的な知識と高度な技術が求められますが、特に必要なスキルは以下の通りです。

  • 実務経験
  • 電気・配線工事に対する知識
  • プログラミング知識

実務経験を積むことで計装士の資格取得を目指すことが可能です。計装士とは、一般社団法人日本計装工業会が認定している民間資格のことを指します。計装士には2級と1級があり、必要な実務経験が違います。

  • 2級の場合:計装工事の設計・施工の実務経験が2年以上
  • 1級の場合:計装工事の設計・施工の実務経験が5年以上かつ監督的立場で1年以上の経験
         もしくは2級合格者で実務経験が4年6ヶ月以上かつ監督的立場で1年以上の経験

計装エンジニアにとって電気や配線工事の知識も必須です。計装機器を動かすためにはもちろん電気機器が必要になります。

また、プログラミングの知識を駆使してコンピューターに指示を入力し、自動装置や制御装置を正しく作動させることも計装の仕事の一つです。

向いている人の特徴

計装エンジニアに向いている人の特徴は以下のとおりです。

  • 機械や配線に関心がある
  • 細かい作業が苦にならない
  • コミュニケーション能力が高い
  • 手に職をつけたい
  • 海外で働いてみたい

機械や配線に関心があるのは大前提ですが、コミュニケーション能力の高さは意外ではないでしょうか。

計装工事にはさまざまな外部業者が関わります。また、計装を必要としている業種は化学や医療など多岐に渡るため、それぞれの立場の人と交流を図りながら、制御システムを設計する必要があるのです。

また、海外の大規模工場で計装工事を行う機会もあるかもしれません。海外で働いてみたいと考えている人にとっては魅力的な仕事ではないでしょうか。

未経験でも挑戦できる

計装士は業務独占資格ではないため、計装の仕事を行うにあたって資格や経験は必要ありません。専門的な職種になるので未経験では無理なのではと考える人も多いでしょう。

しかし、企業によっては資格取得支援制度があったり先輩からの指導で技術を身に付けたり、未経験者でも働きやすい職場環境に整えられています。実務経験を積めば計装士の資格取得にも挑戦できるので、手に職をつけて安定して働きたい人におすすめな仕事です。

まとめ

聞き馴染みのない「計装」ですが、実は身近な機械にもそのシステムは活かされています。今後、さらに機械化が進むことを考えると、機械が安全に稼働しているかチェックするシステムである計装は必要不可欠な技術です。

業界未経験でも挑戦できる計装エンジニアは、手に職がつけられ将来的にも役立つ職業として今後注目される可能性があります。

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